骨粗しょう症とは
骨粗しょう症は、骨がスカスカの状態になってしまい、骨の強度が低下する病気です。
人間の骨は、常に新しく生まれ変わっています。
健康な人の場合は、古くなった骨を壊して吸収するということと、新しい骨を生み出すという細胞の働きがうまくバランスをとっており、骨の状態が安定しています。
このバランスが崩れて骨粗しょう症になると、ちょっとしたことで骨折してしまいます。
骨吸収と骨形成のバランスが崩れることの原因のひとつに、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの低下が挙げられています。
エストロゲンには骨の新陳代謝において、骨の吸収を抑制したり、骨の形成を進める作用があります。
この分泌量が減ると、骨量が低下してしまいます。
そのため、骨粗しょう症は閉経期を迎えた女性に起こりやすいのです。
このような方はご相談ください
- 60歳以上の女性
- ご家族に大腿骨骨折、脊椎圧迫骨折をした方がいる
- 煙草を吸っている
- ステロイド薬を使用している
- お酒を大量に飲まれる
- 背中が丸まっている
- 糖尿病の治療を受けている
- 20歳のころと比較して身長が5㎝以上低くなった
- 過度の食事ダイエットをされたことがある など
骨粗しょう症の種類
骨粗しょう症は、原発性骨粗しょう症というタイプと、続発性骨粗しょう症というタイプに分類されます。
このうち原発性骨粗しょう症は、全患者の9割近くを占めており、閉経がきっかけとなって骨密度が低下します。
徐々に進行していき、65歳ごろから診断されるケースが多いです。
栄養バランスの偏りがある方、遺伝的要因がある方の場合は、65歳未満で発症することもあります。
一方の続発性骨粗しょう症は、関節リウマチや糖尿病といった特定の病気やステロイドの長期使用が原因となって発症するタイプになります。
主な検査
骨粗しょう症の診断をつけるためには、様々な検査が行われますが、とくに重要となるのが骨密度測定です。
この検査によって単位体積あたりの骨量を計測し、骨量や骨量の減少の程度を調べます。
具体的にはいくつかの方法がありますが、当院では主にDXA法による検査を採用しています。
高低2種類の異なるX線を測定部位に照射し、その透過度をコンピュータで解析することで、骨量を調べていきます。
多くの場合、誤差が少ないとされる腰椎と大腿骨頸部の部位で計測します。
検査時のX線の照射時間は短いので、放射線の被ばく量はわずかです。
骨粗しょう症の治療
骨粗しょう症の治療では、食事療法と運動療法、薬物療法を組み合わせて行っていくことになります。
食事療法に関しては、まずカルシウムをしっかりと摂ることが大切です。
カルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨を強くする働きがあるビタミンKを含んだ食物も積極的に摂るようにしてください。
具体的には、医師の指示に基づき、乳製品や大豆製品、小魚、鶏卵、ホウレンソウ、納豆などをバランスよく摂取しましょう。
運動療法では、ジョギングやスイミングなどを毎日30分ほど行うことが基本となります。
これによって骨を作る細胞が活性化し、骨を強くすることができます。
ただし、患者さんの病状によっては、運動による転倒や骨折のリスクが高まることもあります。
運動療法を始める際には、医師と十分に相談の上、医師の指示に従うようにしてください。
薬物療法では、骨吸収を抑制するお薬、骨形成を促進するお薬、骨の主要な成分を補充するお薬などが使われます。
患者さんによっては、複数のお薬を処方することもあります。